歯周病(歯ぐきの病気)の進行と症状
歯を守るには虫歯の予防だけではなく、歯ぐきの予防も欠かせません。そのためには毎日の適切なブラッシングと定期的な歯科健診が必要です。
歯周病は様々な要因が複雑に絡み合って起こりますが、最大の原因はプラーク(歯垢)です。
高齢になるにつれて身体の免疫力が低下するので歯周病患者の割合は増えていきます。
歯周病は自覚症状がないまま少しずつ、そして確実に症状が進行してゆく病気で、一口に歯周病といってもさまざまな症状がありますが、大きく分けると「歯肉炎⇒歯周炎」と徐々に症状が進行して行きます。
歯肉炎は歯ぐきだけの炎症の時で、支持組織まで破壊されると歯周炎になります。
歯肉炎
4〜5日も歯ブラシを怠っていると、リンゴを食べたりすると歯ぐきから血が出るようになり、やがて赤く腫れてきます。これは口の中の汚れが歯ぐきに炎症を起こすからで、若くてもなり、小学児童の過半数が歯肉炎と言われています。
治療:
歯と口腔の清掃、歯肉の洗浄、抗生物質などの口内錠の使用、歯石などの除去
歯周炎
歯肉炎が進行すると歯周炎になります。歯周炎になると、歯肉に炎症がおきるほか歯周組織(歯肉、セメント質、歯槽骨、歯根膜)が徐々に破壊され、進行程度によって軽度、中度、重度に分類されます。進行が中度に進むにつれて、歯と歯周組織を連結している部分が壊れ、次第に歯槽骨も吸収しまし、歯周ポケットが深くなります。
重度になると歯がグラグラ揺れ始め噛みにくくなります。膿の袋が出来て、痛みが激しくなったり、良く腫れたり、出血し易くなり、口臭を伴うなどの症状になってきます。また、歯を失うこともあります。また、歯がグラグラして抜ける原因に歯周炎と違う咬合性外傷があります。
治療:
歯肉炎と同様にプラークコントロールが主体になりますが、スケーリングやルートプレーニングなどの基本治療や、中等度以上の進行状態によっては小さな歯周外科手術を行う場合もあります。
歯が動揺している重症になると、補強のためにその部分に冠を被せて連結します。治療不可能で歯を抜いた場合は、その部分に固定式あるいは取り外しのできる部分入れ歯を入れたりする必要が生じてきます。
歯肉炎と歯周炎の進行と歯ぐきの状態
語句説明
プラーク:
汚れ、細菌の塊。歯の表面についた白っぽいネバネバで生きた細菌が主に含むいろいろな細菌の塊
歯肉ポケット:
歯と歯ぐきの間には歯肉溝という溝があり、歯の根元にプラークがつき、炎症をおこして歯ぐきが赤く腫れてきます。そして歯肉溝が深くなった状態を歯肉ポケットといいます。
咬合性外傷:
慢性的な異常咬合の力によって支持組織が破壊され歯がグラグラになった状態。
スケーリング:
歯からプラークや歯石を取り除くことです。
ルートプレーニング:
スケーリング後、仕上げで根面を硬くかつ平滑にすることです。